THIS IS IT

Michael Jackson's This Is It - The Music That Inspired the Movie
新宿ピカデリーにて,THIS IS ITを見てきた.チケットが完売していたにもかかわらず,幻のステージとして終わってしまったマイケル・ジャクソンのロンドン講演のステージが作り上げられていく様子をオルテガ監督がまとめあげたドキュメンタリー作品.

ダンサーであり,ソングライターであり,プロデューサであり,シンガーであった.自分だけの世界にしてしまわず,スタッフやバックダンサー,スタジオミュージシャンたちとイメージを共有しながら作り上げていくところに彼のすばらしさがあると思う.名曲をひさしぶりにやるときに迫られる選択は2つ.原曲を忠実に再現するのか,それとも新しいアレンジを加えるのか.マイケルはこれを両方やろうとしていた.

The Way You Make Me Feelのイントロのシーンがとても印象に残っている.スタッフの1人が,アレンジャーとして,マイケルはとても一緒にやりやすい相手だと語る.「彼は自分の曲についてはテンポもキーも熟知している.」そんな彼が出す指示は主張を持ちながら,一緒に作り上げることを忘れない.「入るのが急すぎる」「僕は余韻に浸りたいんだ」といいながらも,「月の明かりにまどろむようにね.」ユーモアを忘れない,相手の表現を忘れない,ここにマイケルの音楽への,またそれにかかわる人たちへの愛をとても強く感じた.

冒頭のバックダンサーオーディションのシーンも忘れられない.マイケルとステージに立てることが決まった彼らは震えながら語っていた.「信じられない.」「5歳の頃から彼のファンだった.一緒にステージに立てるなんて..」「今までずっと夢見てきた目標だよ.このあとのことは考えられない.」皆半分笑って,半分泣いていた.おそらく彼らはマイケルとやれるなんて緊張する,とは考えていない.自分にとってはこのあとはない,これが本番なんだ,と.そんな様子に見えた.やる側の人間が一番感動しているって,このうえなく素晴らしいことだ.

映画始まって5分で泣いたのは初めてかもしれない.見に行って良かった.
そして一緒に感動を分かち合ったハンザワガールズに感謝.