SING FOR DARFUR
おひさしぶり.先日「SING FOR DARFUR」という映画をみましたので,そのことについて少し書きたいと思います.
SING FOR DARFUR(シング・フォー・ダルフール)
タイトルが示す通り,この映画はアフリカのスーダンで起こってるダルフール紛争についてのメッセージ的な映画ですが,現地のキャンプでの生活の惨状や,子どもたちがバタバタ亡くなっていく様子をドキュメンタリー風に放映したりしません.舞台もアフリカではない.
舞台はバルセロナ.はじめにとある一人のピエロが仕事に遅れそうになりながら交通渋滞に向かって暴言を吐きまくるところからスタートしてバトンリレーのようにフォーカスされる人間が交代していきます.
登場する人物同士の関係も様々で話し相手であったり何か起こったときにたまたま横に立っていた人だったりするのですが,なんといってもこの交代のリズム感が心地よい,そして何よりバルセロナの街路空間のにぎわいがこれ以上ない臨場感でひしひしと伝わってきます.大通りから路地裏,ギャングの隠れ家から靴磨き屋さんの中まで,この街を掘り出してくれる.こういう街の中に眼球を置いて転がして見えたもの,みたいな描写の仕方がとても好きです.
彼らの言葉の節々に現れるのが,今日の夜行われるビッグアーティストによるチャリティイベント「SING FOR DARFUR」のこと.でもみんなイベントに行く事自体に気を取られ,タイトルにあるDARFURに目がいかない.またその言葉を発するひとも,やり場のない中途半端な会話をして過ぎ去っていく.
「でもそんなこといってもしょうがないじゃん」
物語の最後でタクシーの運転手はめまぐるしくバルセロナの1日をみさせられた観客の気持ちを代弁するように,語り始めます.あとはみてのお楽しみ.
非日常は必ずしも日常的な世界から離れた場所に存在するのではなくて,普段暮らしている中で気づかないような一つ一つの出来事の中にひっそりと,しかし確実にその姿を潜めているもので,それに気づくかどうかはあなた次第.というようなことをメッセージとする映画作品のように思いました.
最後に流れるLOVEが絶妙だー.
Love is you, You and me.
Love is knowing, we can be.
ちなみにこの映画配給してるのはGOLDEN EGGSを作った「PLUS HEADS」.