東京・新宿に「限界集落」 大規模都営団地が高齢化

東京・新宿区の大規模都営団地で、住民の過半数が65歳以上となる超高齢化が進んでいることが、同区社会福祉協議会の調査で6日分かった。高齢化に加え建て替えで高齢者が集中したことが原因で、高齢化率トップの群馬県南牧村並みの「限界集落」が都心に生まれたことになる。区社協孤独死の増加も心配されるとして、対策に取り組み始めた。

 中山間地で高齢化率が5割超の「限界集落」は存続が困難とされる。インフラの整った都市の事情は異なるが医療など支援が重要。国立社会保障・人口問題研究所は団塊の世代が多い都市部の都道府県で高齢化が進むとみており、「限界集落」が地域の中心都市に現れる可能性もあり、新たな都市問題となりそうだ。

 超高齢化が判明したのは総戸数約2300戸の「戸山団地」。1990年から全16棟の建て替えが進んでおり、新宿区社協は、約6割の新住民が入居した昨年末以降、成富正信・早大社会科学部教授と調査を開始。

 団地住民が大半を占めるこの地区の住民基本台帳調査で高齢化率が51・6%に達したことや独自調査から、区社協は住民の過半数が65歳以上と推定。高齢化率は19・8%の区平均を上回り、75歳以上の約6割が独り暮らしとみている。

「都心だから」のような曖昧な表現は都市問題の非線形性を見落とす危険性を孕んでいる。